葉山観光モデルコース 日帰りプラン電車・バス
葉山御用邸周辺の皇室ゆかりの地を歩くショートトリップ

県立葉山公園

葉山御用邸を右手に見ながらバス通りを南に歩いて行くと、コンビニの少し先に、県立葉山公園の入口が見えてきます。
この小径をしばらく進むと、右側に県立葉山公園の入口があります。広い道ではありませんが、車の出入りがありますので、気をつけて歩いてください。

県立葉山公園は、かつて、御用邸馬場だった場所にあります。公園の細長い敷地に、馬場だった名残りを感じることができます。大浜海岸を眼下に望む御用邸馬場は、国内でも屈指の絶景馬場だったことでしょう。
当時は、バス通りを挟んだ反対側に、馬の飼育や調教を行う主馬寮もありました。現在その跡地は、その名も「主馬寮公園」という小さな公園になっています。

一色海岸・小磯の鼻

県立葉山公園の下に広がる大浜海岸の砂浜を、海を左手に見ながら歩くと、すぐに赤い橋が架かっているのが見えてきます。この橋は臨御橋と言う橋で、橋のすぐ上流には葉山御用邸の敷地を望むことができます。

臨御橋を渡った先は一色海岸です。一色海岸は葉山御用邸の目の前に広がる海岸です。

この一色海岸と大浜海岸の間には、小磯の鼻と呼ばれている小さな岬があります。岬の上部は全面芝生広場になっていて、潮風を浴びながらのんびりと過ごすことができる人気スポットです。
現在の上皇陛下がご静養に訪れた際にもほぼ必ず訪れている他、葉山ローカルの人たちにも、海辺散策の定番スポットとして親しまれています。

葉山しおさい公園・しおさい博物館

一色海岸から葉山御用邸の敷地を右手に見ながら小さな小径を進んで行くと、再びバス通りに出ます。ここを左側に進みしばらくすると、葉山しおさい公園の入口が見えてきます。

葉山しおさい公園は、かつて葉山御用邸付属邸だった場所に開園した公園です。大正天皇崩御・昭和天皇皇位継承の地という、時代が移り変わる際の、歴史の証人となった場所でもあります。

葉山御用邸付属邸は、本邸の北隣りにあった岩倉具定、金子堅太郎、井上毅3名それぞれの別荘を宮内省が買い上げ、開設されました。
一時期、関東大震災で被害を受けた本邸に変わって、付属邸に本邸の機能が移されていたこともありました。

大正天皇最後のご療養の地となったのもそのためで、1926年（大正15年）12月25日、大正天皇は葉山御用邸付属邸で崩御されました。
皇太子裕仁親王は崩御に立ち会っていたため、「践祚の儀」（皇位継承の儀式の一つ）も付属邸で執り行われ、この地から昭和がはじまりました。

葉山しおさい公園の見どころは四季の花々を楽しめる日本庭園や黒松林からの海への眺望もありますが、しおさい博物館も見逃せません。
葉山しおさい公園の玄関は、旧葉山御用邸付属邸の御車寄を移築したものです。また、館内では、葉山周辺で海洋生物の調査研究をされていた昭和天皇のコレクションなどの、皇室ゆかりの品も展示されています。

神奈川県立近代美術館 葉山館

葉山しおさい公園の北隣りの敷地が、神奈川県立近代美術館 葉山館です。葉山しおさい公園の正面入口を出て、バス通りを左側に進めば、カーブの先に神奈川県立近代美術館 葉山館の建物が見えてきます。

神奈川県立近代美術館 葉山館は、有栖川宮別邸（後に高松宮が継承）跡地にあります。
有栖川宮別邸は、1891年（明治24年）、皇室ではじめて葉山に設けられた別荘になります。そのような意味では、葉山と皇室とのつながりの原点とも言えるような場所です。

神奈川県立近代美術館 葉山館の近代的な建築に宮家の別荘の面影はありませんが、緑が多く残る海に面した庭園を散策すれば、当時の皇族の方々がこの地を愛した理由を理解できるかもしれません。

芝崎海岸

神奈川県立近代美術館 葉山館を出て、バス通りを左手に進み、しばらく行くと、左側に海の方へ大きく迂回する道が現われます。
このあたりの一帯を芝崎と言い、その前面の海岸は芝崎海岸と呼ばれています。

芝崎海岸は砂浜が広がるような海岸ではなく、干潮時に磯遊びができるくらいの、磯浜です。岬の先端のほうまで行くと、コンクリート護岸の合間に、海岸に降りられる階段が設置されています。
普段は、階段を降りた先は海の中ですが、干潮になると、特別な装備がなくても歩いて沖合に出ることができます。

葉山御用邸からもほど近い芝崎海岸は、たびたび、昭和天皇が海洋生物の調査研究をされていた場所として知られています。
昭和天皇が名づけ親となった「サメジマオトメウミウシ」という名前のウミウシは、この沖合にある鮫島が由来です。

森戸神社（ベルツ博士・マルチィーノ公使顕彰碑）

海を左手に見ながら芝崎海岸沿いの道を進んで行くと、再びバス通りに出ます。
突き当りを左に曲がり、真名瀬海岸を左手に見ながらバス通りを進んで行くと、左側に葉山の総鎮守として知られる、森戸神社（森戸大明神）の鳥居が見えてきます。

森戸神社の裏手はすぐ海になっていて、葉山灯台（裕次郎灯台）や気象条件が良ければ富士山など、相模湾の絶景が広がっています。
この境内裏手には、葉山ゆかりの人物の石碑が並んでいます。

その一つが、ベルツ博士・マルチィーノ公使顕彰碑です。
ベルツ博士は、明治天皇や大正天皇の侍医を務めたドイツ人医師です。天皇家に避暑地として葉山を勧めたのが、ベルツ博士だと言います。
マルチィーノ公使はイタリアの日本駐在公使で、葉山を避暑地に最適と紹介した人物の一人です。2人は、葉山で交流もあったと言います。

ベルツ博士とマルチィーノ公使は、現在の葉山のイメージをつくった、葉山初の広報大使と呼べるかもしれません。